クマが、聖アウグスティヌスの言葉が書かれた本をお腹の中に入れてしまった!おかげで修道士がその本の写本をつくることになります。なんだか変なお話だなぁーと思ったら、実話をもとにして作られたお話だとか・・・。びっくりです。
写本を作る過程が面白かったです。ただ書き写せば良いというものではありません。紙(羊皮紙)もペンもインクも、一から作ります。まずは、それぞれを作って用意し、間違いのないよう、さらに美しく書き写し、最後に革の表紙をつけて綴じるのです。気の遠くなるような作業です。この時代、本がいかに貴重なものだったかが、よくわかります。
そして、心をこめて本を作ればつくるほど、装飾性も増していくのでしょう。それがこの絵本のイラストに表れていました。
今でも、本は大切なもの、敬意を払うべきものという印象があると思うのですが、それは知識や楽しみが詰まっているというだけでなく、こんな風に時間と手間をかけて伝えられてきた、長い歴史を持った「本」というものへの敬意では?と思いました。
それにしても、「絵描きのユーゴ」修道士も、自分のいたずら描きが何百年もたって人の目に留まり、自分の名前がタイトルについた絵本ができるとは夢にも思っていなかったことでしょう。愉快です(笑)