宮沢賢治作品は文章から受けるイメージが強く
読む人それぞれの持っているイメージに合うか合わないかで
好ききらいが完全に決まっちゃう…って感じがするんですが
この本はそういう意味で、ワタシの
「ベスト・オブ・水仙月の四日」です。
黒井健さんって
どの作品を読んでもブレなく絵が美しいのですが
個人的には、そこで終わっちゃってる作品も多い気がして
はがゆい気持ちになったりすることがあって。
もっとこの先まで描ける方ですよね?と。
(描きもしない絵本読みが何をゆーかってアレなんですけど★)
なので
この作品を見たときは
「やったー!!!」でした。
色が!
風景が
雪婆んごが!雪童子が!
悲鳴が上がりそうなほど透明感と冷たさにあふれていて
素晴らしいという言葉が陳腐に感じるほど感激しました。
こどもの赤毛布のあざやかなこと。
やどりぎの生き生きしていること。
これがまた、風景の冷たさの中のコントラストでハッと魅せる!のですよ〜。
(とはいっても、黒井さんの描くこの作品では
主人公はあくまでも冬と雪と雪童子ですけども)
天気が変わり
明るい雪の合間の天気から
吹雪になる色合いもドキドキするような不安さで。
雪婆んごが、雪童子が、雪狼が飛び回るその様子
雪童子のほっぺがほんのり紅くて、いかにも童子らしくて。
乱れた髪に風の強さ、激しさが感じられます。
(雪婆んごがまたコワいんだ★
小さい子だと夢に見そうw)
そして
雪がやんだ後の静けさ。夜の澄んだ空気。
風どころか、星のまたたきまで止まっているような。
翌朝の冷たい太陽と
雪童子によって掘り起こされたこどもに
それを迎えに来たのであろう人影まで。
いやもう
たっぷり堪能いたしました!
こんな名作はなかなかお目にかかれないと思います。
未読の方にはぜひ!ご一読いただきたいです。