4つのお話の中で、実はやさしい鬼ばばの姿が浮き上がってくるのですが、阿部結さんの絵と、導入部分のエピソードのインパクトが強すぎました。
小さな島で暮らす巨人のような鬼ばばは、食べるものに困って、小さなお父をぺろりと食べてしまいました。食料が足りないと、小さな赤ん坊を遠くに投げ飛ばしてしまいました。
優しさからは程遠い鬼ばばなのに、流れついた男、老婆、子どもにはなぜか優しいのです。流れついた犬にまで優しいのです。
それは悪行についての贖罪でしょうか。
荒々しく描かれる物語はきれいごとにはならないのですが、変わろうとしている鬼ばばに光を見ました。
誰にも理解されないだろう行動に哀愁を感じました。
でも、こんな不器用な生き方には、どうしても気を緩めてしまいます。