あべ弘士さんのこの絵本、オッ!?と思ったのは
絵が非常にカラフル。
なめとこ山の熊って、クライマックスのシーンが1月なので
全体的に冬の雪山を中心に描いている絵本が多いんですね。
でも、冬に至るまでには当然春も夏も秋もあるわけで。
冬以外の明るくてキレイな季節がちゃんと描きこまれていることで
ここが冬になるとこんなふうなのね…と
イメージがふくらむのです。
そしてもうひとつオッ!いいね〜と感じたのは
小十郎がちゃんとおじ(い)ちゃんなのですw
ヘンですか?でも意外と少ないんですよ?
小十郎は孫を育てるために猟をしていまして
孫たちの面倒をみているのは小十郎の母、つまり曾祖母なんですが
この曾祖母の年齢が九十といいますから
息子である小十郎の歳だってかなりトシのはず、ですよね。
でも
あんまりじいさまだと弱そうに見えるのか
それとも他に理由があるのか?
小十郎を壮年のように描く
もしくは年齢不詳になるようぼかして描く方、多いんですね。
なので
あべさんの小十郎を見たとき
おお、リアルだなと。
夜のシーンの深い青
雪山のシーンの空が照り映える白
など
とにかく色がきれいで冴え冴えとしているので
文章がツメツメのページもけっこうあるんですが
それに負けない存在感があります。
山の自然の美しさをグッとアピールする絵を
じっくりと味わえる作品です。
どうぞお楽しみください。