私は、木登りが忘れられない。
小さい頃、前栽の木に登っては、祖父に叱られた。
木には子ども心を引き寄せる何かが、あると思う。
さとるが思い描くおおきな木にも、
どこか心をくすぐられた、木からの呼びかけが、見え隠れする。
田舎町ではあたりまえの庭の木も、都会では贅沢な品扱い。
木々のいのちに、子どもがなびかない訳はない。
子どもは風を感じ、風に学んで、木と遊びたいのだ、そう思う。
春、夏、秋、冬、木のいのちの上から、季節を眺め、
遠くに街を、山並みを、真下に家族の住むわが家を見つめる、
そんな計画をたててみたいのだ、ゆっくりと本気に。
父とふたりで、計画を楽しむ。母がそれを見て、微笑む。
こんな良書にめぐりあえて、うれしいな。
佐藤さとる画伯、偕成社に、感謝