時間が読めなかったら、時間の感覚がなかったら、とんでもないことになるとクマさんは教えてくれました。
現代の社会は時間で動いているのですから。
私が働いている施設の発達障害の子には、時計から時間を読み取ることが苦手な子が多くいます。
その意味で、お父さんが行った訓練はある意味で正当かと思いましたが、きっとこのようなやり方では子どもは理解の前にパンクしてしまうでしょう。
そのスパルタを乗り越えたクマさんがすばらしいと思います。
クマさんは、時間を読み取れるようになって、天才的な活動を始めました。
自分でスケジュールを立てて、いつか人の先を行くようになりました。
実は、このあたりからこの絵本の極端さに不安を感じてしまいました。
ゆとりがあるようで、自分にゆとりを失っていったように思えるからです。
お母さんの行為は、まさに暴力的な行為でした。
スケジュール管理できるようになったクマさんに、次々と様々なチャレンジを押し付けていったのです。
その結果が「燃え尽き症候群」でした。
精神的に追い詰められたクマさんは、自分を解放するために、縛られない世界に入っていきます。
そのおかげで、この絵本はハッピーエンドで終わります。
でもこの絵本には、親の子育てのスタンスについて、かなり皮肉な指摘が込められていると思いました。
過剰な指導や期待は、きっとこのような終わり方はしないでしょう。
主人公をクマにして良かったですね。