色の魔術師と称されるレオ・レオニ。
彼の絵本は、どのページを開いてもハッとするような鮮やかな世界が広がっていて、
正に魔法にかけられたように、一瞬にしてその空間に引き込まれてしまいます。
その数ある絵本の中でも、特に広い世界を持っているのが、この“マシューのゆめ”だと思います。
そこに「スイミー」のような広い海がある訳ではありません。
物語の舞台となるのは、貧しいねずみマシューとその両親が住む屋根裏、美術館、
そしてタイトルとなっているマシューの夢の中という、ごくごく狭い場所たちです。
ですが、マシューが初めて訪れた美術館の中で“ここには せかいが まるごと ある”と思ったように、
暗く寂しい屋根裏の一角で ガラクタたちが色かたちを表した途端、マシューの中で、突然世界が広がり始めました。
マシューは美術館へ行った事、夢を見たことで自分の世界の鍵を開きましたが、
案外こういう些細な事が、自分の世界を広げるきっかけになるのかもしれません。
ですが、意思を持って行動しなければ、きっとマシューは貧しく寂しいねずみのままだったと思います。
広い世界の鍵を開いたマシューは、置かれた状況に屈する事なく、絵描きになると決め、絵を書き続けました。
そして、“ぼくの ゆめ”を掴みます。
どんな状況にあっても、想像する事と行動する事
この2つで、世界はぐっと広がるのだと思いました。