ご存じ林家一門のおかみさん海老名香葉子さんのエッセイです
作者ご本人の幼少の思い出を中心に、東京大空襲で「戦災孤児」となって強く生きて行こうと進んでいく・・・
最初はまるでサザエさんを思わせるような大家族の楽しい活気に満ちあふれた生活感を、文面いっぱいに感じます
33の細かい段落で分けられて、そのうちラストの6分の1位が、最も悲しい「大空襲」の体験でした
いつもなら先がどうなるのか知りたくて、ページをめくる手も早くなのですが、このエッセイで私は初めて手が止まる経験をしました
前半の幼少頃の思い出が楽しければ楽しいほど、ページを進めるのが怖くなるのです・・・・
結末を知っているから・・・なのでしょうか
疎開先へ送るときに、戦場での父子の別れを歌った『桜井の訣別』をお父さんが歌うのは胸に迫るものがあります
「うしろの正面だあれ・・・?」と振り向いたとき、迎えに来た母の姿がもう見ることが出来ないとわかっているから・・・
そうなんだ・・・3月9日の「時忘れじの集い」で「67年たっても、母がどこかにいるように思えるんです・・」というご本人の言葉が重なり合いました・・・
どんなに元気で活発な姿であっても、こんなに長い間心に疼き続けていることをこのエッセイを通して感じます
だから、どこまで行っても「平和」を願うのです
小学校高学年以上なら読めると思います
ぜひ大人の方も読んでください