いやしんぼのゾロリ一家をカモにして、自社の宣伝に利用しようとしたズルい会社の社長さんが、あっとおどろくセコイ技でしてやられる楽しいお話。
1997年刊行。ミニ四駆に乗り込んで(体を小さくする薬を使用)、レースに勝ったら商品のカッコいいスポーツカーがもらえると、張り切ったゾロリ一家。
しかし、強欲な主催者の陰謀により、セコイ材料で車を魔改造するしかなくなってしまった。嗚呼!
レースコースのように、お話も山あり谷ありで、ハラハラドキドキ、コマーシャルも入る。すごい作りの話だ。作者は天才だと心底思う。
それにしても、有名ブランドのメーカーさんが、金にモノを言わせて裏工作して、あれこれ手間をかけたのに、全然勝てない、なんて。某・プロスポーツ団体の、金と圧力で花形選手ばかり集めたわりに、全然勝てなかったことを思い出させる。
逆に、弱小チームで、ダメになりそうな選手を立ち直らせたり、優勝に導いた名将のことも思い出した。
金と権力があれば絶対勝てるというわけでもないのが、勝負の世界の面白いところ。恐ろしいところ。
ゾロリたちは窃盗団なので、本来なら憎むべき存在なのに、こういう話だと英雄みたいでカッコいい。
ひどい状況であっても、工夫と運とユーモアでで乗り越えていこうという、明るい希望を持てる。楽しい作品です。
金と権力があって、常に人を上から目線で見ている人は、読んではダメですよ。