ずいぶん昔の作品なので、今、現役の子どもたちが果たしてどういう風に受け止めるのか未知数。
しかし、レトロな雰囲気を楽しめる人にとっては、年齢を問わず、面白がって読めるエンターテインメントだと思います。
※1950年(昭和25年)1月号〜12月号 「少年」(光文社の雑誌)に「虎の牙」という題で連載された。のちに改題。
※現代の読者に親しんでもらえるように、読みやすく編集し、わかりにくい事柄や単語は欄外に説明文がついています。
シリーズものなので、最初から読んだ方が、登場人物の背景などがわかりやすいが、適当に途中の巻から読んでも大丈夫。話が一巻ずつ読み切り作品のように完結しています。
シリーズ物とはいえ、一つ一つが独立した作品としても楽しめます。全部を読み切るぞ!とチャレンジ精神を燃やしてもよし。1冊だけ試しに読んでみるのもよし。
探偵ものですが、残酷な描写は控えられていて、トリックを解き明かす楽しみや、登場人物の不気味さを楽しんだり、不思議な雰囲気を味わったりして、いつの間にか読み終わってしまいます。
あまり頭を使わなくてもよく、「わからない」トリックも、登場人物の誰かが懇切丁寧に解説してくれるので、推理小説が苦手な人(私のように!)でも安心です。
実際にそんなことができるのか?という驚きの設定、トリックもあり、「そりゃないだろう!」というつっこみどころもあり。読者に語りかけてくる独特の語り口が、レトロな手品ショー演芸のように楽しめます。
絵もすごい。この世界観は、ちょっと他では味わえません。どうぞご期待ください。