2004年刊行。日本全国のいろいろな土を集めて、いっぺんに見られるようにした本。巻末には土の集め方、標本の作り方、土を使った染色や画材の作り方なども紹介。
土のコレクションをするなんて、変わった人である。
筆者は子どものころから土偶や小石を拾いあつめるのが大好きで、今も集めているという。土は10年以上。収集癖のある人が、そのまま自分の好きなことをやり続けた結果、このような本が出来上がった。
全国津々浦々、土を集めてあちこち歩き回り、白地図上に土の標本を並べてみると、いろいろな色になる。土=黒、ではなく、思いがけないような色もあり、土だけでカラフルな絵の具ができそうだ。
実際、絵の具を作ってしまう。驚く。クレヨンもできる。もっと驚く。
絵の具というと、科学的なものを混ぜ合わせて色を作っているようなイメージを勝手に持っていた。本当は、自然の中から取り出せるものを使って作ったのが最初で、科学的に合成した色を利用しだしたのは最近の話だというのに。
これだけ土がいろいろあると、その上に生える植物もいろいろで、植物を利用する人の生活もいろいろだということがわかる。
ひたすら土ばかり見ている本だが、いろいろなことを考えさせられた。奥が深い一冊。
この土の1つ1つに、物語がありそうだ。