昔の動物園の一日を描いた絵本です。動物園に少年とかめくんがやってきました。この絵本は、誰が主人公かをはっきりとは描いていません。少年の目線で描かれているかと思うと、かばとかめの目線で描かれていたり。
かばくんが動物園にやってくる子供たちを「きた きた きた きた」と見上げている様子は、なんだかとてもリアル。本当は、私たちが動物を見に来ているのではなくて、こうやって動物たちに見られるために来ているのかなぁなんて気もしてきました。
ゆったりと流れていく時間。少年のちょっと投げやりな言葉もリズムがよく、耳に心地よく読み進んでいくことができます。あっという間に動物園は夜です。
何気ない動物園の一日を描いた絵本ですが、ちょっとシックな色使いも、たんたんと進む絵本の語り口も一見、古めかしい印象も魅力的に感じるから不思議。何十年も読みつがれているゆえんは、このノスタルジックな懐かしさかもしれませんね。