たっちゃんが友達の家から帰ろうと野原を横切っていると、
どこからか、「じゃんけんぼん。あいこで、ほい。あいこで、ほい。」
と聞こえてきて、その声がする方に近づいていくと、1匹のトラ猫が
いました。その猫が、「じゃんけんをしよう」とたっちゃんに言い...
という話です。
佐藤さとるさんの話を読んでいると、いつも、どこからこんなことを
思いつくのだろうと思うことがいっぱいです。
じゃんけんをすることを仕事にしている猫だなんて!
しかも、じゃんけんで猫に勝つと、猫になれて極上の場所での
昼寝がプレゼントされる....
凡人にはとても思いつかない空想の世界です。
この話で面白いところは、何と言ってもトラ猫のじゃんけんの仕方です。
チョキは爪を2本立てる、パーは5本、グーは爪を出さないだなんて、
よく考えられているなぁと感心しちゃいます。
それと、他の作品でも言えることですが、
日常の中で、そういう不思議な体験をするチャンスが一度しかない
ところが、個人的に気に入っています。
そのチャンスを自分がもらえるかもらえないかは誰にも分かりません。
でも、誰かにはチャンスがあるという感じが、好きです。
ひょっとして、自分にもありえるのかな?と思えるところが
話の余韻として残って、物語を更に素敵にしていると思います。
じゃんけんねこは、今はどこでじゃんけんしているのかな?!