主人公のぼくは、お父さんと赤い郵便箱を作って庭のいちじくの木に
つるし、毎日、手紙が届いていないかチェックしていました。
ある日、その郵便箱の中に“かえる”が引っ越して来ました。
そして、郵便箱に届いたハガキを読んでいる“かえる”に向かって、
「人のうちに来た手紙を読むな」と言うと、“かえる”はどうしたら
手紙が自分にも届くようになるか聞きました。
ぼくは、「手紙を下さいと手紙を書くんだよ」って教えてあげました。
それを聞いた“かえる”は宛名のない手紙を一生懸命書き、毎日、自分
に返事が来るのを待っていました.... という話です。
村上勉さんの絵が大好きだったので手にした本です。
かえるが毎日、手紙を待っているところがとても切ない話でした。
決して、主人公の“ぼく”は決して意地悪からではなくて、純粋に毎日
手紙がきたかどうか聞いただけだったんだろうけれど、それが“かえる”に
とってはどれだけプレッシャーになってしまったんだろうかと思うと、
読み心地が非常に悪くなりました。
そして、そこに気をとられすぎていたせいか、私自身がついさっきまで
何度読んでも、結末の展開に釈然としない感じがして、それが息子にも
伝わってしまったのか、息子もモヤモヤとした感じで、また読んでとは
言ってきませんでした。
でもやっと分かりました。
私の中では宛名の無い手紙を、しかも投函しなければ、返事も来る筈が
ないという一般常識が、余計、待っている“かえる”の気持ちを哀れに
思わせ、男の子が解釈したように、あれが自分宛の手紙だったのだと気
付くのを妨げていたんだと思います。
なるほど! そこは、郵便箱だから、そこにあった“かえる”の手紙は
そこに着いたっていうことだったのか!
そういうことだったんですねぇ....
“かえる”くんもどこかで今は手紙をもらえているといいなぁ。