2010年の「うんこ!」で人気を博した作/サトシン、絵/西村敏雄の2011年8月の作品です。
主張したいことはわかります。
オススメの対象年齢を大人向けとしている方が多いのも、理解できます。
でも、何処か引っ掛かるのです。
そんな気持ちで、感想を書いています。
物語は、
「わたしは あかねこ。
しろねこかあさんと くろねことうさんから うまれたの。
きょうだいは、しろねこちゃんと、くろねこちゃんと、
とらねこちゃんと、ぶちねこちゃん」
という書き出しで始まります。
全編、あかねこの心情で綴られていくのですが、やっぱり重すぎます。
あかねこは、自分のあかという色が好き。
他と違うことを気にすることなく、完全に肯定する気持ちしかありません。
両親と兄弟は、何とか同じ色になって欲しいと色々と試すのですが、勿論変わるはずもありません。
私らしさを理解して貰えない疎外感から、あかねこは家を出て、あおねこくんと出会います。
そして、納得できる結末へと続くのです。
あかねこの気持ちを聞くというシーンがないので、両親兄弟とも、あかねこがどう思っていたのか知らなかったのでしょう。
確かに、あかねこの気持ちを聞くべきだったかも知れません。
でも、両親兄弟の行為は、らしさを否定することではなくて、世に出た時に不憫な思いをさせたくないという気持ちからと捉えることが出来るのではないでしょうか?
疎外感を感じたのは、自ら飛び込んでいかなかったせいもある気がします。
最後、あかねこが両親兄弟と再会するシーンがないのにも、一寸違和感が残りました。
対象年齢は、難しいところ。
大人向きと言えるのでしょうが、短絡的に考える作品ではないと思います。