あとがきから見ると、青山邦彦さんは、建築家を経て作家さんになられた人らしく、おうちの話が多いです。
「ドワーフじいさんのいえづくり」以来、好きになった作家さんです。
大きなやかたは、最初、お金持ちの住む立派なやかたでした。
時代の変遷とともに改築され、ホテルになり、レストランになり、大型のショッピングモールへと変わっていったけれど、いつも、自分が立派な建物であることに誇りを持っていました。
でも、ある火災で焼け落ち、取り壊されそうになったところを孤児院として生まれ変わることに。
やかたは、最初、自分が以前のような立派なやかたでなくなったことに絶望したけれど、子供たちの家として、自分が大切にされているという喜び、暖かさをはじめて知ったのです。
何が本当の幸せか?「ちいさいおうち」のお話をちょっと思い浮かべました。
青山さんの絵本は、どれもみんなそうだけど、細部にわたって、とても綿密に書かれていて、やかたや、やかたを取り巻く人々の様子など、絵を見るだけでもすごく楽しいです。