「る」という文字で飛行機の冒険を描いた絵本です。五味さんの音の絵本は、いろいろありますが、この絵本は、どちらかというと男の子向きでしょうか。娘の反応はイマイチ。
でもよーく見ると、大人が楽しめるしかけがいっぱいなのです。
「る」や「れ」で飛行機の音を表現しているわけですが、だんだんと飛行機が近づいてくると、「る」の文字が大きくなったり、白い雲に飛行機が入った時は、白くかすんだ「る」になったり。
飛行機が墜落しちゃった時は、なんと「る」の文字にひびが入って、壊れてしまいました。
次のページでは、「る」もちゃんと起き上がって、飛行機も無事に離陸できたからよかったけど。
それにここにも五味さんのユニークなしかけが・・・。
飛行機に黒い窓があるのですが、この窓が実は飛行機の表情を的確に表しているんですね。
黒い窓は、飛行機の目なのでしょうか。黒い雨雲の中を飛んでいる時の、細く不安そうな目(窓)。雨雲から抜け出た時の安心しきって丸く開いた目(窓)。墜落した時のぐちゃぐちゃにつぶれて泣きそうな目(窓)。なんだかこの窓を見ていると、飛行機にまるで心があって、生きているように思えてきます。五味マジックを感じさせられる絵本です。