野に立つ一本の木の四季をめぐる物語。
きわめてシンプルな発想だと思うのですが、言葉のないこの絵本はストーリー性よりも芸術的であることを目指しています。
冬から春へ、春から夏へ、夏が来たら秋が来て、また冬が来る。
ごく当たり前の光景ですが、一本の落葉樹を中心に置いて、
渡り鳥の四季とリスの一年の生活が物語の世界を膨らませます。
鳥がヒナを育てて、また去っていきます。
リスは冬眠から覚めて、この木で生活し、冬が来たらまた冬籠りを始めます。
木の構図は全く同じの定点観察。
当たり前の風景かもしれませんが、なんと心に沁み込んでくる絵なのでしょうか。
アート感覚でゆったり感覚の絵本。
低学年には物足りないかもしれませんが、とても味わいのある絵本です。
疲れた大人が、ホッとできる本としてお薦めです。