2011年度読書感想文全国コンクール中学年の部課題図書。
原題は『Out of the Ashes』。
灰、遺骸などを意味する「Ashes」に込められた想いも大事にしたいです。
イギリスの農場を襲った2001年の口蹄疫被害。
その様子を身近に体験した少女ベッキーの日記という形で進むフィクション。
しっかりとした取材と作者の体験に基づくノンフィクションのような構成なので、
確かに緊迫感のある文章になっています。
農場に住むベッキーは初めて自分ひとりで子羊の出産を手伝います。
生まれた子羊に「リトル・ジョッシュ」と名付け、育てますが、
口蹄疫がベッキーの農場にも発生します。
全ての家畜を殺処分しなければならない事実を、ベッキーの家族は受け入れます。
目に見えないウィルス。
家族それぞれの想いが交錯します。
昨年日本でも口蹄疫は発生したので、多少なりとも現実としてとらえることができそうです。
何か困難に直面した時の対処法も学びたいです。
このような状況では、子どもたちは無力感を感じがちですが、
ベッキーのように日記というような形で文章にすることで救われることもある、
ということもそっと教えてくれているようにも感じました。
『世界で一番の贈りもの』など、実際の出来事を取材した作品が多い、
モーパーゴの作品、
あらためてもう少し読んでみたいと思いました。