佐々木マキさんの絵本『ぶたのたね』と『ゆきだるまのクリスマス』に一時期夢中になっていた娘のために取り寄せてみました。個人的にも佐々木さんの絵のタッチが好きなことも理由です。
この絵本、読み聞かせには不適なのではないかと思うぐらい、現在も扱いに苦労しています。というのも、本書は通常の絵本的な要素と漫画のような要素が混在しているからで、ストーリーの説明とキャラクターの吹き出しによる台詞といった二つの異なる要素によって話が展開されるからです。そして、そのどちらを先に読むべきかもページによって異なっており、そのことが読み手に戸惑いを与えます。また、カットの豊富さの割には文字が少ないので、途中かなりの言葉を補足してやる必要もあります。というわけで、本来は読み聞かせ、特に年齢の低いお子さんを対象にした読み聞かせを想定していないのではないかと想像してしまいます。
とはいっても、シンプルでテンポ良く展開するストーリーはユーモアたっぷりで、細かく丁寧、かつ、いろんな角度から描かれた迫力のある絵は読者の視覚を十分魅了してくれるはずです。
わが家では二歳二ヶ月頃をピークに、一日何度も娘に読み聞かせをせがまれました。もちろんこの絵本に書いてある文字を追う以外に、かなりの説明をアドリブで追加しましたが・・・。恐らく、言葉によるコミュニケーションが十分可能になる年齢だと、そこは「会話」が橋渡しをしてくれるのではないかと思います。そうした意味ではちょっと異色の絵本といえるかもしれません。
将来、娘が言葉を今以上に理解できるようになったときの反応は想像できませんが、個人的にはムニエルの唱える呪文がどうも好きになれないのと、先に述べたように、読み聞かせながらいつもどこか戸惑いを感じてしまう点で星四つとしておきました。