みんなからポツンと離れて、一人で座っている男の子。耳を押さえています。物音や声がとても大きく響いて聞こえてきて、つらいのです・・。
大勢の人からは、少し離れている方が楽なのです。だからといって、人がキライという訳ではありません。
彼が、折って飛ばした紙飛行機は「ぼくはここにいるよ」というメッセージ。その紙飛行機は、優しい人の手によって、彼のもとにまた運ばれてきました。「わたしもここにいるわ」という言葉と共に。
誰かと「共にいる」ということが、彼が、自分以外の外の世界と繋がる第一歩なのでしょう。すべてはそこから始まります。
この絵本は、「自閉症の子どもを理解してもらいたい」という思いから作られた本だそうですが、この絵本を手に取る子どもたちにとって、その意図を完全に理解するのは難しいかもしれません。でも、何か心に残れば、それが、作者の思いへと近づく道しるべになることでしょう。