なんとも残酷な物語です。
養豚場の豚が人間の言葉を理解していたら、どんなことを考えているのでしょう。
おまけに、安気に暮らしていたら、突然死亡承諾書の押印を迫られるのです。
悲しみと絶望感に食欲を失った豚は、強制肥育という恐ろしい仕打ちを受けます。
その結果は…。
宮沢賢治は、その後を懸命に文学的表現でまとめようとしていますが、その残虐行為をすんなりとは受入れがたい物語です。
これでは豚が可哀想すぎて、豚肉が喉を通らなくなるではないですか。
養豚業者が極悪非道な人間に思えるではないでしょうか。
児童書としてある限りは、養豚を否定しないで、いかに大切な仕事であるかというまとめをすることが重要だと思いました。
生々しさを避けたnakabanさんが、避けて通れなかった豚の解体シーンの血の臭いと、その後の寂寥感の表現に、苦労を感じました。
安易なヒューマニズムで考えてはいけないでしょうが、自分で心の落し所を探したい絵本です。