13歳の少女セオは、美術館の警備員をしている祖父と、一日中数式に取り組み夢の中にいるような母との三人暮らし。ところが頼りになる祖父は、ある日、事故で亡くなってしまいます。「卵の下を探すんだ」という言葉を遺して。
卵の下を探しているうちに現れた謎の絵。セオは、たまたま知り合った同い年の少女、ボーディと一緒に謎を追っていきます。
謎の絵は本当にラファエロ? でも、どうしてこんな描き方?という謎ときに付き合いながら、私の絵画史への興味も増していきました。そして、絵の来歴に迫るにあたって図書館情報学修士を持つ専門家の頼もしさ、コンピュータデータベースの素晴らしさに感動。さらに何より少女たちの行動力、機転に感嘆。
おじいちゃんが謎の絵を持つことになった訳は、ナチスの美術品略奪とその返還プロジェクト、モニュメント・メンという歴史的事実を基に設定されています。(映画「ミケランジェロ・プロジェクト」を見ていたので、よくわかりました)セオたちが謎を追った結果、おじいちゃんの心残りが解決されました。良かった!
卵の下に大切なものが隠されていたように、この本のストーリーの下にも様々なものが豊かに横たわっているように思いました。
P.S. 本を手にとってページをめくった瞬間、「カニグズバーグのにおいがする?」と感じた私。(あくまで個人の感想・思い込みです)そして著者紹介を読むと、一番好きな本の一冊は『クローディアの秘密』とあり(!)、私の嗅覚はまんざらでもないかも?と思った次第ですが・・。