「異能」というのは、人より際立った能力とか、一風変わった能力をいうが、漫才界ではやはり小説『火花』で第153回芥川賞を受賞した漫才コンビピースの又吉直樹さんがその筆頭と思っていたが、この絵本の作者西野亮廣さんも又吉さんに負けない「異能」の人だ。
西野亮廣さんはキングコングという漫才コンビで活躍、その一方で絵本作家として活躍している。(絵本作家の時は、にしのあきひろとひらがな表記になっています)
この人たちの活躍を見ていると、才能が政治や経済、あるいは文化といった世界だけでなく、色々な世界で開花していることを実感できる。
まさに多様性の時代なのだろう。
この絵本は2016年に刊行され、2020年の12月にアニメーションン映画となって公開されている。
映画の方を先に観た人は、この絵本に物足りなさを感じるかもしれない。しかし、2時間近い映画だから、新しいエピソードが追加される(中でもえんとつ町がどうして出来上がったかは映画の方が詳しい)のも仕方がない。
絵本の方は、物語の核が描かれていると思えばいい。
そして、この絵本でも主人公の少年ルビッチと死んだ父との交流が短いページ数でもしっかり描かれている。
西野亮廣さんが「異能」であるように、この絵本自体も一風変わっているといっていい。
巻末に映画のエンドロールのように「スタッフ」を紹介するページがあって、西野さんの名前には「絵・文・監督」とあり、以下たくさんのスタッフの名前が書かれている。
つまり、この絵本は従来の絵本とはまったく違う制作過程でできあがっているということだろう。
これも、また新しい試みといえる。