江戸時代、とうふを売り歩く七兵衛さんが、貧乏長屋に住んでいる学者(侍)に出会う。その人にほれ込んだ七兵衛さんと、学者の数奇な人生の話。
学問で身を立てて、立派な仕事をして有名になる侍は、長期的な計画を実現させるため、現時点での欲求を我慢する。一方、その日暮らし的な感覚のとうふ屋は、長期的な目標はないものの、自分のできることで他者を助ける。二人は別世界に住み、価値基準もまるでちがうが、お互いに尊重し合い、助け合っていく。こういう風に人間関係を作っていったら、よい社会が実現するのではないか。
学問がなくても、学問をすることの意義や活用法などをしっかり知っているとうふ屋さん。一方、学問をしているが、世間知らずの学者さん。身分の違い、生まれ育ちの違いがあるにせよ、お互いがお互いに学びあっているところがすごい。
学校は何のために行くのか?
勉強は何のためにやるのか?
その答えは人それぞれあるが、私は自分が学生時代には納得のいく答えが見つからなかった。
「学校に勤めている人の生活を守るために、わざと必要のないことを、難しくして、毎日通わないといけないという恐怖感を植えつけて、お金をせしめる」という、被害者妄想的な考えを持っていた。昔と違って、義務教育を受けられるようにはなったが、義務教育を生活でどのくらい生かせるのかは疑問だ。
本当の学問、役に立つ学びというのはなんなのか。
この絵本を読んで、考えさせられた。