小1の娘のお気に入りの絵本で、よく「読んで!」と持ってきます。
読むのに20分くらいかかる字の多い絵本なので、子供が読むと言うより、親が読むほうが、この作品に流れる野生の生き物の人生のようなものが子供に伝わりやすいと思います。
フルーが逃げた道などが絵になっていたので、とんぼ返りを打って逃げたときに、においがなくなったことなどが娘にもよくわかったようです。
わかりにくいところは言葉でくどくど説明するのでなく、絵でわかるようになているところもすばらしい。
野生野うさぎの中にも、人間のように好きな人と出会い、別れ、再会するなど、ドラマがあることもわかります。そんなドラマはもっと大きくならないとわからないのではと思いましたが、この作品を読んでいると、とても自然なこととして、子供の中にフルーたちのドラマが入ってきます。
『しろいうさぎとくろいうさぎ』という絵本も、ウサギが結婚するお話しですが、個人的には『野うさぎのフルー』の方が読み応えがありました。ただし、一人で読むなら、大勢の前で読むなら『しろいうさぎとくろいうさぎ』の方が、読み手を選ばないのでいいと思います。
質の高い絵本です。石井桃子さんの訳も素晴らしく、親子でとても気に入りました。