裏表紙を開くと細い文字の列が2行。
それを読んで改めて、この絵本を最初から味わいました。
言葉少なに描かれた絵の中に、夢とこれから起きることへの期待感が溢れています。
荒井さんは、「子どもたちは待っている」と表現しました。
でも、最後に書かれた長新太さんへの追悼文を読むと、2020年に亡くなった追悼絵本であり、荒井さん自身が様々な風景を待ち続けていることを実感します。
荒井さんは、長新太さんの「ちへいせんのみえるところ」と出会うことがなかったら、絵本の世界に入らなかったと語ります。
「ちへいせんの…」は、次に何が出てくるんだろうという、期待感に満ちた絵本だったと思います。
この絵本で、明るい色彩で描かれた風景は、期待感こそあれ、不安感はありません。
荒井さんは、常に前向きに想像力を展開しているのです。
この絵本、そのまま大人である私達へのエールではないでしょうか。
子供時代の夢を思い出しながら、これからの風景を明るい色で想像しましょう。
この絵本が手助けしてくれると思います。