佐々木マキさんの絵は、くっきりと描かれていてとても楽しく感じる部分と、どこかに斜に構えたニヒルさの部分があるように思います。
木になるブタの実、ゾウのマラソン大会、豚より弱いオオカミ、なんだかすごい設定です。
子ども心にげらげら笑うほど単純ではなく、少しひねくれてしまった自分は物語の登場人物の設定にものすごいアイロニーを感じるのです。
はたしてありえない話なのだろうか?
オオカミはブタより弱いとは決まっていない。
ブタのなる木があったっていいじゃないか。
想定外の騒動だってあるじゃないか。
木になった豚は、ゾウのマラソン大会で落ちてしまって、逃げていきます。
一匹残ったブタの反撃に立ち向かうことのできないオオカミ。
ブタにかなわないオオカミは、逆に火傷をしてしまって踏んだり蹴ったり。
悲しいけれど、とことんついていないことってあります。
だから、私は次はきっとブタを食べてやるぞと、またブタの木を育てようというオオカミの気持ちが痛いくらいよく分かるのです。
この絵本、大人向けですか?