「マドレーヌ」のシリーズでおなじみのベーメルマンスさんの晩年の作品です。
乗馬の盛んであった、バージニア州在住の友人だったビーヴァリー・ボガードさんの詩が元になっているお話だそうです。
欧米では昔から行われていたきつね狩り。
当時は日曜ともなると、家族ぐるみで参加するお祭りのようなものだったようです。
たくさんの嗅覚のきく猟犬を連れ、馬に乗って、匂いの目印をつけたきつねをおとりに放し、それを追い駆け巣穴を探りあてるのです。
この“きつね狩り”を一軒のきつねの家庭の母子の会話で描いています。
外の喧騒さに気づいた子狐が母狐に尋ねると、きつね狩りについて説明をし始めます。
随分ぞんざいな言葉遣いで、イライラカリカリしながら説明をするおかさんだな?と思いながらも、人間の知恵ある狩の方法に「な〜るほど」なんて思いながら読み進めました。
おかあさん狐の言葉には、きつねは生きていくうえで“知恵”がなきゃだめ!という教えがしっかり込められています。
狐の親子だもんね〜、なんて笑いながら読んでいたら、なんとうまく人間の一枚上手の知恵をまわらせ逃げのび、家に帰ってきたのは、・・・・・・。
やられた〜!って感じです。
かあさん狐のイライラカリカリにも納得です。
タイトルにも「上手い!」と拍手したくなりました。
“知恵の まわる きつねは いつだって にげのびる”の一文に、“知恵の まわる きつねに 読者は やられた 〜!”と笑ってしまいました。
終盤、狐の家族のティータイムのカップの絵柄に再び爆笑でした。