小さな女の子が一人でお留守番しています。
雨が降っています。
女の子は不安です。
心細さ、雨に対する感覚、母親への思い、お留守番ができていることへの誇らしさ、女の子の繊細な心の動きが、雨の中でぼんやりとにじんだ感じで表現されています。
あえて水彩絵具のにじみの中で、そっと表現したところがスゴイ。
言葉が少ないだけに、絵がすべてを語っています。
幼年むけに作られた絵本かもしれませんが、この表現力、感性の伝え方の世界を味わうには、心のひだが培われてこなければ難しいようにも思いました。
岩崎さんにとっても、印刷されて絵の出来上がりを確認するまでには冒険だったのではないでしょうか。
これほど繊細な表現が印刷機でつぶされてしまったら、失敗作になってしまうような実験的な絵本。
眺めて飽きない絵本です。