『アレクセイと泉のはなし』を書かれた本橋成一さんの本です。
チャルノブイリの爆発があった翌年に生まれたナージャが生まれた村からチャルノブイリの五年後の様子が描かれています。
放射能に汚染された村と言っても、とても美しい自然が残っています。
目に見えないけれど、汚染が残りそれが人々をむしばんでいくこと、それが放射能のこわさだと思います。
そんな中でも閉鎖されたドゥヂチ村の学校は廃墟そのものですし、爆発がおこったチャルノブイリ原発の建屋は壊れたままです。
汚染された土地で自給自足の生活を送っている人々。
一旦暴走すれば人の手では押さえることができないのが放射能のこわさでもあります。
この村には、電化製品も電車もないのに、この理不尽さの中で生きていかなくてはいかなくてはならないのです。
豊かさとはなんでしょう。人の犠牲によって成り立つものなのでしょうか。
人の命の犠牲の上に成り立つ豊かさ・効率・利便性。
原発は、子どもたちに負の遺産を残し続けるのです。
セシウムで半減するのに30年。すべてがなくなるのに300年かかります。
チャルノブイリの時に、どうして私はそのことを学ばなかったのかと思います。
子どもたちの未来のために考えなければならないとしたら今しかないと思いました。