梅田俊作さんの絵本を集中的に読んでいた5年前、梅田さんの描く父親像に強い共感を覚えていた私にはこの『ゆきみち』には違和感を覚えたものです。
「迫力ある雪景色、激しい雪の中で、お父さん冷たすぎやしませんか」という印象が強く残り、もっと子どもに近くにお父さんがいるべきだなどと思っていたのです。
しかし今回再読して、この雪の印象、おばあさんと共にいる思い出の風景は、男の子の中で強調された心象風景だと納得しました。
お父さんは子どもを信じていますし、決してこれほどの豪雪の中で子どもをひとりぼっちにしたりはしないでしょう。
男の子にとってはそれほどにとても大変な思いと、思い出のいっぱいこもった道であり、生まれたばかりの弟に初めて会うまでのとても意味深い道だったのです。
バスの形といい、車掌さんといいずいぶんと昔の情景です。(絵本が出た当時にしても過去のものだったでしょう)
そのころを懐かしく思いながら強調された風景は、本当はちょっとしたみぞれだったのかも知れません。
子どもは絵本の中では主人公です。
大人の感覚で子どもを見ていた自分を感じ、梅田俊作さんに申し訳なさを感じました。