純粋ではない絵本、と申しましょうか、逆に類をみない純粋絵本か。
「絵本なんて純粋すぎてイヤよ」という思春期の娘が、ヨシタケさんの絵本だと自ら自室へ持ちこむ。一人でニヤニヤしているのでしょうか。
物の有り余った現在で、りんごなどあまりにありふれた物ひとつを想像する、おもしろい視点です。
これを考えるのにどれくらい年月を要したのでしょうか。すんごい情報量です。赤毛のアンでも想像を絶する想像量です。
最近の事件や話題を見ていると、根本に想像力の欠如があるように思われます。
もし自分がこうしたらどうなる、こうだったらどうだろう、と考える力が少ないような。
本がそれを補充してくれると言われていますが、その最たるものというか、思考の過程を表した絵本という気がします。
りんご一個でここまで考えられる「ぼく」は、生きる力に満ち溢れていると感じました。
ストレートには、サバイバルや実験対決を喜ぶ小学生男子かと思いますが、老若男女全年齢層にオススメです。