2010年刊行。ウズベキスタンの巨大な湖「アラル海」が完全に干上がり、一方ではオセアニアのツバルが海に沈みそうだ。現地で撮った写真と、人々の思いを紹介する写真絵本。
両極端な、水の問題。
アラル海は完全に干上がり、昔の面影は、朽ちた砂の上の船に残るのみ。かつては栄えた町が衰退していく様子を見続けている古老の、あふれそうな想いが伝わって、切ない。
一方、海に沈むと日本でも報道されていたツバルでは、どんどん海水が上昇していくのに、人々は至ってのんきに暮らしている。海水の上昇の他に、ごみ問題や人口の急激な増加など、他にも問題がたくさんあるのだが、妙にあかるい。
二つの世界を体験した写真家の戸惑いや、おどろきなども感じられ、いろんなことを考えさせられる。
人間の活動で環境に大きく影響を与えたのだとしたら、人間の活動を変えれば、やはり環境に良い影響も与えられるのだと、私はこの本からメッセージを受け取った。
ツバルのごみ問題などは、例えば、ごみ拾いツアーとか、ごみリサイクルで税金が安くなるとか、どうにかなりそうな気もする。
問題は、そんな環境保全活動に気前よくお金を出してくれるスポンサーが出るかどうか。粋な計らいで地球をきれいにする事業家の皆さん、出番ですよ。