同じ物語なのにどうして印象が違うのでしょう。
この絵本にはツヴェルガーらしい理性と懐古の味わいがあるのです。
中世をイメージした絵の中で、赤ずきんちゃんは他の絵本より成長した存在です。
分別もついてきているのでしょう。
それなのにオオカミの言葉に乗ってしまいました。
登場するオオカミは狡猾でいかにも悪。
乙女心の隙間をねらう巧みさを秘めています。
赤ずきんちゃんが集める花も決して鮮やかなわけでもないので意味深さを感じさせています。
狩人もおばあちゃんも存在感があります。
オオカミを退治した後のくつろぎの風景は、他の絵本にはないように思います。
少し成長した子供向け。
同じ物語なのに、不思議ですね。