作者のコメントに「一つの優しさが次の人へ、また次の人へと、どんどん広がっていくといいな…。そんな願いをこめて、作りました」とありますが、人間は小さい頃に関わらず、必ず誰かに助けてもらって生きています。「一人で生きているんだ!」なんて思っても、実際にはそうではありません。
例え、文明社会を離れて、たった一人で無人島で生活していたとしても一人で生きているわけではありません。誰もいないから一人で生きているさ!と思っても、何を食べるのでしょうか?植物を食べたら、それは植物に助けてもらったことになるのです。木の実を食べたら、木の実に助けてもらったことになります。極端に言えば、息をしていることは地球に助けてもらっているのです。
この「おさんぽ ぽぽぽ」はもちろん、そこまで極端ではありませんが、子どもにとって誰かや何かに助けられて、そして助け合って人は生きていくことを、くめむらたかこさんのやわらかなタッチの絵で表現しています。現実的にはお散歩の途中にクマ君が出現したら、ビックリですが、そこは絵本の世界ですからね。ほのぼのしたストーリーで子どもに周囲との関わりをやさしく教えてくれる作品だと思います。