一度読んだことがあるのに、また読みたくなる本がある。『あと少し、もう少し』が私にとってその本である。
息子が中一の時に一緒に読んでから、今年で四年目だ。今年の新潮文庫の百冊にも選ばれていて、p355の「ちぎれそうな身体だって、おれの走りをするんだ。」が紹介されていた。
私が一行を選ぶとしたらと、また読み返し、p7「中学でやることに必要なのは能力じゃない。」に付箋。
p213「言ってはいけない言葉ってある。」に付箋。p231「本当の自分がなんなのかはわからない。」にも。p283「えらくなんてならなくていい。」にも。
他にもべたべた貼りだして、決まらない。私が気になった文って、母親目線だろうか?と思った。
駅伝の走者6人のひたむきな思い・葛藤・悩みにそれぞれ共感して、読みながらうなずき、応援したくなる。
とにかく気になる一行が目白押し。
そして確信した。中学生に何か一冊をと言われたら、私はこの本を絶対に薦めたい。
この本に出てくる六人がたまらなく好きで愛おしいんだと気づいた四年目の夏だった。