「ルッピン伯爵領とその周辺地域の民話伝承」を下敷きに書かれたドイツのハーフェルラントという土地を舞台にした美しい叙事詩です。
1889年に雑誌に発表され、この詩がきっかけで、伝説の梨の木の話は世に広く知られるようになったそうです。
(この話のものと思われる梨の木は今も村の教会にあるそうですが、実は1911年に嵐で倒れてしまい、新たな木を植えたとか、・・・。)
1969年、ホグロギアンさんの版画でこの絵本がアメリカから出版され、面白い事にドイツ語版は1971年ホグロギアンさんの手によるこの版画絵本を知り刊行されたそうです。
とにかくリベックじいさんの人柄がにじみ出ている良い表情です。
そして梨の木も美しい。
ストーリーは、寛容で愛に溢れた梨好きのおじいさんリベックが、自分がこの世を去った後も、その梨を人々が味わい楽しむことが出来るよう、素敵な心遣いを最後にしていったというお話。
とにかく詩文が美しい。
秋にたわわに実った梨の様子を“あたりいちめんに ひかりかがやいた・・”という一文が好きです。
息子の心根の狭さを見越したリベックじいさんの思慮深さに唸ってしまいました。
いえ、おじいさんはもっと後の世の人々まで思いを馳せ、こんなプレゼントをしてくれたのでしょうね。
それくらい器の大きな人物に思えます。
とにかく詩文も版画も素敵な作品です。