よかったです。読みやすく、かつ読みごたえがありました。
中3男子の学校生活に対するもやもや、大人社会への不信、老人介護問題、命とは、などの大きなテーマが織り交ぜられた物語です。様々な問題が平行して描かれているにも関わらず、それらが不自然でなく、うまく一つの物語になっています。「どうなるんだろう?」と前のめりに面白く読みながら、主人公の悠君と一緒になって憤ったり悩んだりもしました。
タイトルに「こんとんじいちゃん」とありますが、「混沌」としているのは、じいちゃんだけでなく、この世の中も同じだと思いました。きれいごとだけでは語れないこの世のあれこれ。でもすべてが悪でもバツ(×)でもない。そして、こんなややこしい現実の中にも、希望を見ることができました。こういうことを描くのは難しいと思うのですが、見事に描かれていると思いました。これから、村上しい子さんの作品に注目していきたいと思います。