ある朝、ぼうやはちいさくつめたくなってしまいました。
おとうさんきつねも病気で亡くしてしまったこのおかあさんきつね。
心がちぎれそうになりました。
泣き疲れた後に、顔を上げて見えたもの。
古い電話ボックスとそこへ毎日やって来る人間の男の子。このふたつがおかあさんの心に灯をともしました。
男の子にぼうやの面影を重ね、だんだん元気になってくるおかあさんきつねでしたが、またやって来る別れ、「おあかさん、がんばって!」そう心から願いました。
叫取り壊される電話ボックスが最後の力を振り絞ってきつねのために灯をともす。ここでも、ずしんと来てしまいました。
文章の美しさと愛くるしくまた母の悲しみや愛が痛いほど伝わってくる絵、双方相まって心に深く残る作品です。