『木はいいなあ』のマーク・サイモントの挿絵に、
『あなはほるものおっこちるとこ』のルース・クラウスの
コンビによる大好きな絵本です。
森の動物達が冬眠まだ醒めやらぬ雪の中、
透き通るような静けさに気持ちが凛とするようです。
穴の中の野ねずみが、鼻をくんくん。
くまも、かたつむりも、りすも・・・みんな鼻をくんくんさせて・・。
みんなが一斉に同じ方向に走っていきます。
ページをめくる度、増えていく動物達。
みんなが何かに向かって、鼻をくんくんさせて!
だんだんスピード・アップしていき、
読んでいる側も、
一緒に何かに向かって走っている感覚に墜ちいってきます。
気がつくと人間も、鼻をくんくん・・・状態だったりするのです。
モノトーンのシンプルさの中で、動物達が生き生きと走り、
自然が息づきます。
一点を取り囲んで輪になった動物達の幸せそうな表情。
そのわけは・・・。
クライマックスに、小さな黄色い花がひとつ。
春を待ち焦がれる動物達の気持ちが見事に伝わってきます。
唯一のカラーである一本の黄色い花が心から離れません。