バーナデット・ワッツの『ラプンツェル』にはいくつかのバージョンがあるようです。
1985年刊の相良守峯訳と、この福本友美子訳の他に1979年の大島かおり訳(佑学社刊)を知りました。
そして、1979年の佑学社版とこのBL出版版ではワッツが絵を書き直していて、まったく異質の作品になっていることに興味を持ちました。
佑学社版は『ヘーゼルとグレーテル』(相良守峯訳、岩波書店)と同じ、どちらかというと暗いイメージの絵で少し違和感を覚えるのに対して、このラプンツェルはメルヘンチックに仕上げられています。
魔女もラプンツェルに「裏切られる」までは、とても気品のある魔女として描かれているのが新鮮。
王子様もほのぼのとしていて、失明した後の不幸があっさりと描かれています。
前作があまり好意をもって受け入れられなかったからでしょうか。
相良守峯訳と大島かおり訳を比較できていないのですが、大島かおり訳では二人の子どもは出てきません。
バーナデット・ワッツの絵本には、いろいろな味わいがありますが、この絵本は安心感があります。