毎年、8月になると一番に気になる紙芝居です。
演じたいけれど、演じる場を見つけられない紙芝居でもあります。
広島原爆を背景に、命の大切さ、平和の大切さをネコに語らせていることで、客観的に反核を訴えている紙芝居です。
アーサー・ビナードさんは丸木俊さん、丸木位里さんの「原爆の図」から、紙芝居の絵を切り取りました。
テキストになった「原爆の図」の異様な圧力の中から、紙芝居の素材になる部分を拾い上げる想像もできない作業の中で、ビナードさんは原爆と向き合ったのだと思います。
この作品は、丸木俊さん、丸木位里さんの偉業の上に成り立っています。
そして、そのことを風化させないための新たなエネルギーだとお思います。
忘れたい思い出として人々の中にあるとしたら、広島原爆の破壊力をはるかに上回る核兵器が、使われるかも知れない現実から、目をそらすわけにいかないことも感じなければいけないと思います。
絵と向き合って欲しい紙芝居であり、世界に発信したい紙芝居です。
核の恐怖から解放される時まで、いつでも演じる覚悟のある紙芝居です。