この絵本を読んでいる途中から認知症になってしまっていた大好きなおばあちゃんの事、そして大好きだった叔父の事を思い出しました。本当に認知症と言う病気は家族にとっては切なくて本当に辛い病気です。私も二人が認知症になってしまって少しずつ記憶がなくなって行っている事に気が付いた時は本当にどうしたら良いのか分からないだけでなく、凄くイライラした気持ちになってしまいました。今までのおばあちゃんじゃないんだ、今までの叔父じゃないんだ。本当は大好きなおばあちゃん、大好きな叔父なのに、認知症の症状が進むにつれてだんだんと現実が受け入れられない自分がいて、本当に自分自身との葛藤でした。でも、大好きだからこそおばあちゃんや叔父との思い出は一生忘れないと思うし、二人の事は子供達にも話伝えておきたいと思っています。例え子供達は二人に逢えていなくても。
この絵本のお話は本当にこの病気になってしまっている家族の切ない思いを凄く正確に表現してくれていると思いました。また、どうしてあげたらよいのか、その答えを静かに教えてくれているとも思いました。私もこの絵本をもっと早くに知っていれば、必死になって看病をして頑張っていた私の母親も、随分と気分が変わっていたかもしれません。そして私自身も認知症になってしまっていたおばあちゃんと叔父に対する態度がもっと変わっていたかもしれません。
また、風船を思い出に例え、空に風船が消えて行く様子を描いていることも凄くイメージし易くて、切なさが凄く伝わって来ました。
凄く心に響く1冊だと思ったので、この絵本を介護で一生懸命叔父やおばあちゃんのために尽くしてくれていた母親に贈りたいと思いました。母親ももう若くは有りません。いずれ認知症になってしまうかもしれません。でも、この絵本を読んでもらっておく価値は本当にあると思います。元気でいてもらいたい。だから読んでもらいたい。
本当に素晴らしい1冊でこの絵本を読み終えると本当に心が熱くなりました。一生懸命認知症の方のご家族の介護をされている方にはもちろん、どこのご家庭にもこういったケースが有り得る事が有る、という事からぜひ1冊は持っておいてもらいたい、そうする事で万が一ご家族が認知症になってしまった場合でも認知症になってしまった方に優しく寄り添ってあげる事が出来るのではないか、と思います。そんなすばらしい1冊だと思います。本当にお勧めです。