この絵本の評価が分かれるのは、絵に誘われて手にしたら内容がかなり硬いからだろうか。
手に取ったイメージと違い低学年向きではなく高学年向き。
理屈っぽい本は避けたいという人には不向きかもしれない。
この絵本は、自分を考える上でとても参考になる絵本だと思う。
カラスに育てられたジロは、カラスの鳴き声を学んだ。
その鳴き声のためにいじめられ、無口な犬になった。
無口になったジロは、相手から気味わるがられ、そして避けられるようになった。
強い犬になったのである。
強い犬には子分が集まる。
ジロはリーダーとなり、子分たちの面倒も見るようになった。
人の畑を荒らす野犬のリーダーになったのは決して正しい選択ではなかったようであるが、ジロの生い立ちがそうさせたのだろうか。
子分を助けようとしてジロがしたのは、隠し続けていたカラスの鳴き声。
またジロは一人になる。
よく考えるととても深いお話なのです。
犯罪心理につながる生い立ち論そのものようなところもあります。
強そうな人間でも、隠しておきたいことがあって、とても繊細に反応してしまう。
友だちを考えるとき、友だちはどうなのだろう。
子どもたちには、この絵本を通して自分のこと、友だちのこと考えてもらいたいと思いました。