戦争が終わり、アンナは新しいオーバーを買ってもらうことになりました。
でも、お店はからっぽ、食べ物もない、お金もない時代、お母さんは、家にあるものを売ってオーバーの材料を手に入れようと考えました…。
丁寧に描かれた挿絵から、戦争の傷跡・悲惨さが伝わってくる一方で、出てくる人がみな穏やかで生き生きしている様子が印象的です。戦争が終わるというのはこういうことなのね、と思いました。人々の表情に、希望が感じられました。
物やお金があふれている昨今、にわかにはぴんと来ないお話かもしれません。(大人の私でもそうです。)
でも、だからこそ、じっくり読めば読むほど、心の奥にしみこんでくるようでした。
物やお金の豊かさではない、心の豊かさ、そして、人と人とのつながりの意味を改めて教えられた思いです。
戦争を扱った絵本ですと、何かしら強固なメッセージを感じることが多いですが、この絵本は、そうした教訓的なことは一つも感じられず、それだけに、逆に“平和の意味”をしみじみ考えさせられました…。
終盤、アンナのオーバー作りに携わった人々を招いてのクリスマスイブ、アンナのオーバーの赤と、ツリーの緑の対照が素敵です。
家ではもう子どもに読みましたが…、
冬、クリスマスが近くなったら、ぜひ学校でも読みたいと思います。