学生の頃、杉浦範茂さんが大好きだったので、ずっと昔に一度読みましたが、最近読み返してみました。
もう20年以上前の作品なのに、今読んでも古臭さなんて微塵も感じませんでした。
主人公の男の子が、けんかして負けたところから始まりますが、この持って行き場のない悔しさがヒシヒシと伝わってきます。
そして、歯を食いしばってもまつげの間を縫って流れてくる涙が止まるまでの間に、男の子が悔しさをぶつけ、怒り、そしてだんだん落ち着いてくる様子を、飛行船を使って上手に表しています。
少年達が妙に悟ったり、安直に仲直りしたりしないところが、とても良いですね。
昔読んだ時より、小学生の男の子の母になった現在の方が、伝わってくるものがたくさんありました。
些細なけんかの絶えない小学生低学年の男の子、そしてその親に是非読んでもらいたい一冊です。