南の島の野球少年ナリンと、ザトウクジラのバースの交流のおはなし。
冬というのに半袖で野球、ということは、本当に南の島なのですね。
季節により回遊するバース、そのバースの到来を察知するナリン。
どちらも季節の移り変わりを五感で感じ取っているところが素晴らしいですね。
そして、バースなりの生きていく苦労と、ナリンの野球に打ち込む姿が重なります。
特に、バースの傷跡がその壮絶さを教えてくれます。
自然界の厳しさも垣間見えます。
深い交流ではありませんが、心がそっと寄り添っている、そんな関係です。
どこまでも続く海や空の描写が素敵で、大自然を体感したような読後感でした。
子どもたちも、くじらに親近感を持ってくれそうな気がします。