筒井頼子さん&林明子さんのコンビによる作品はどれも、読み手の「親の心をも揺さぶるもの」がありますが、時としてそればかりが表現されているようで、私は敬遠してしまうことがあります。でも、このとんことりは、かなえとかなえのお母さん両者の気持ちが読み手、聞き手にまっすぐに伝わってきて、だからこそ新しい友達ができた時のかなえの笑顔が忘れられなくなります。親子で素直に「よかった」と思える本ってあまりないと思います。そんな意味からも「はじめてのおつかい」と並び、長く読まれているのかなあと思いました。幼稚園の片隅で女の子がかなえを見ている所など、林明子さんらしい伏線もあり、子どもはそれを探して「あの子だ!」と喜んでいました。タイトル「とんことり」もいいです。「あたらしいともだち」「おひっこし」だったら、買いません(笑)