教育テレビで見たのをきっかけに、息子が興味を示して図書館で借りてきました。新美南吉の話には黒井健というぐらいに、絵がぴったりマッチしています。
私も子どもの頃に読んだのですが、子供の狐が初めて雪を見た時に雪に太陽が当たった反射で、目に何か刺さったと思う場面を鮮明に覚えています。当たり一面雪化粧された雪の日の情景を見事に伝えていると思いました。
母さん狐が人間は怖いものだから懸命に言い聞かせてと子供をこわごわと人間の町に送り出す親心、それにもかかわらず子供の狐が狐の手を帽子屋さんに出してしまうことろはハラハラしますし、子供の狐が「人間ってちっとも恐かないや」と言う無邪気さが心を打ちます。
何よりも親狐と子供の狐の仲睦まじい様子や親子の信頼関係が、とても心に残る本なので、息長く読みつがれていってほしいと思います。